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給食無償化で農家の収入はどうなる?
給食無償化で農家はどうなる? 仕入れ価格への影響と今後の展望
給食無償化の流れが本格化
最近、全国で給食無償化の動きが活発になっています。すでに一部の自治体では実施され、今後さらに広がる可能性が高いでしょう。
しかし、ここで気になるのが「給食用の食材を供給する農家への影響」です。給食が無償化されることで、農家の収益構造にどのような変化が起こるのでしょうか?
今回は、給食無償化による農家のメリット・デメリット、そして今後の展望について詳しく解説します。
給食無償化とは? 財源はどうなる?
給食無償化とは、これまで保護者が負担していた給食費を国や自治体が全額負担する仕組みです。これにより、家庭の経済的負担が軽減され、すべての子どもが平等に給食を食べられるようになります。
ただし、無償化に必要な財源をどう確保するかが大きな課題です。主に以下の3つの方法が考えられます。
- 税収を活用(地方税・国税)
- 安定した財源が確保できれば、食材の調達方針に大きな変化は起きにくい。
- 他の予算を削減して充当
- 予算削減の影響で、給食費の圧縮が求められ、より安価な食材が選ばれる可能性がある。
- 段階的な無償化
- 一部を公費負担にし、段階的に完全無償化を目指すケースも考えられる。
この財源確保の方法によって、農家への影響も変わってきます。
農家への影響は? ポジティブ要素と懸念点
給食無償化は農家にとってプラスになる部分もあれば、マイナスになる可能性もあります。
✅ 影響がプラスになる場合
① 地産地消の推進が加速
給食無償化とともに、地域の農産物を積極的に活用する動きが強まる可能性があります。すでに無償化を実施している自治体の中には、地元農家との連携を強化する動きも見られます。
これにより、自治体によっては地元農家と安定した取引が生まれ、新たな販路が確保されることが期待されます。
② 給食は年間を通して安定した需要がある
学校給食は、年間を通して食材の需要が一定です。そのため、安定した取引が可能になり、農家の経営がしやすくなるというメリットがあります。
特に、米・野菜・乳製品の生産者にとっては、長期的な供給契約が結べる可能性が高まるでしょう。
⚠️ 影響がマイナスになる場合
① 食材コスト削減の圧力
無償化の財源が厳しくなると、自治体は給食費を抑えるためにより安価な食材を調達する方針を取る可能性があります。
例えば、現在の学校給食では一部の食材(牛肉・小麦など)に輸入品が使われています。無償化の影響でコスト削減が進めば、国産よりも輸入品の割合が増えるリスクがあるでしょう。
② 納入価格の引き下げ要請
無償化に伴い、給食センターは食材費を抑えるために価格交渉を厳しくするかもしれません。すでに一部の自治体では、給食費削減の影響で農家への買い取り価格が下がった例も報告されています。
「給食向けの納品は安定しているが、利益率が低くなる」といった状況になる可能性も考えられます。
海外の事例と日本の今後の課題
給食無償化は日本だけでなく、海外でも実施されている国があります。その事例を参考に、日本での影響を考えてみましょう。
🌍 フランス:地元農産物を積極活用
フランスでは、学校給食の食材の50%以上を有機・地元産・環境配慮型の食品にすることが義務付けられています。政府と農家が連携し、安定供給を実現しています。
🌍 スウェーデン:無償化の中で輸入品の活用も
スウェーデンでは学校給食が無償化されていますが、食材のコスト削減が求められる中で、輸入品の活用が進む可能性も指摘されています。
農家に求められる対応策
給食無償化が進む中で、農家が安定して利益を確保するためには、以下のような対策が必要になります。
✅ 自治体と連携し、地元産食材の活用を推進する
→ 「地元農産物を給食に使おう」という政策を働きかけることが重要です。
✅ ブランド価値を高める
→ 「学校給食で使われている安全な食材」として、一般消費者向けの販路も開拓する。
✅ 価格競争に巻き込まれない仕組みを作る
→ 産直販売や地域スーパーと連携し、給食以外の収益源を確保する。
まとめ:給食無償化は農家にとってチャンスか?
給食無償化は、農家にとってプラスにもマイナスにもなり得る重要な政策です。地産地消の推進による販路拡大の可能性がある一方、コスト削減の影響で輸入品の増加や価格引き下げ圧力がかかるリスクもあります。
農家としては、自治体との連携を強化しつつ、価格競争に巻き込まれない戦略を考えることが今後の課題となるでしょう。