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農薬を使うことは危険なの?日本の基準について調べてみた

2025.02.01
農薬

農薬は本当に危険? 日本の基準と安全性について詳しく解説

—食の安全を守るために知っておきたいこと—

農薬=危険? それとも安全?

「農薬は体に悪いのでは?」と思う方も多いかもしれませんね。でも、日本の農薬はとても厳しい基準のもとで管理されており、適切に使われれば安全性がしっかり確保されています。

今回は、日本の農薬の規制や安全性について、できるだけわかりやすくご説明します。


日本の農薬管理は世界でもトップレベル

日本では、農林水産省・環境省・厚生労働省の3つの省庁が関わり、農薬の使用がしっかりと管理されています。具体的には、次のような基準が定められています。

① 農薬の登録制度(農薬取締法)

農薬は、自由に販売・使用できるわけではなく、**「農薬取締法」**によって厳しく管理されています。販売や使用の前には、さまざまな試験が行われ、安全性が確認されたものだけが認可されます。

試験の内容には、次のようなものがあります。

  • 毒性試験(急性毒性・慢性毒性・発がん性・胎児への影響など)
  • 残留試験(農作物にどれくらい農薬が残るのか)
  • 環境影響試験(土や水、生態系への影響)

こうした審査をクリアしたものだけが、市場に出回る仕組みになっています。

② 残留基準(食品衛生法)

農薬は作物を守るために使われますが、完全にゼロにすることはできません。そのため、日本では食品ごとに「残留基準値」が細かく決められています。

基準値は、人が一生食べ続けても健康に影響がないとされる量の1/100以下に設定されており、厳しく管理されています。

  • 例えば、ネオニコチノイド系農薬の基準値は、米0.02ppm、レタス3ppmといったように食品ごとに異なります。
  • 2020年からはポジティブリスト制度が導入され、基準値を超えた食品は出荷できなくなりました。

③ 使用基準(農薬使用基準)

農薬は「使いすぎると危険」なのは確かですが、日本では使い方にも厳しいルールがあります。

  • 使用回数や時期の制限(収穫直前には使えないなど)
  • 希釈倍率の規定(濃度を守らないと使用できない)
  • 使用記録の管理(農家さんがいつ、どれだけ使ったか記録する)

このように、農薬が安全に使われるように細かいルールがあるため、私たちが食べる作物はしっかりと管理されているのです。


農薬は本当に危険なの?

① 農薬による健康への影響

農薬を長期間、大量に浴びた場合、健康への影響が指摘されているものもあります。例えば、過去には以下のような事例がありました。

  • 一部の有機リン系農薬を長期間扱った農業従事者の中に、パーキンソン病の発症率が高まるケースがあることが報告されています。
  • 無登録の農薬が不正使用されたことで健康被害が起きた事例もあります。(例:中国産冷凍餃子事件)

ただし、適正に使用された農薬が残っている作物を食べても、基本的には健康リスクはないとされています。

② 環境への影響は?

農薬の中には、環境への影響が心配されるものもあります。

  • ネオニコチノイド系農薬がミツバチの減少に関係しているのでは? という指摘があります。
  • 水田で使う除草剤が川に流れ出ることで、水質汚染の可能性があるともいわれています。

こうした問題に対して、日本では使用制限が強化されており、環境への影響を最小限にする取り組みも進められています。


「無農薬=安全」とは限らない?

「農薬を使わない=完全に安全」というわけではありません。実は、無農薬栽培にもリスクがあります。

  • 天然由来の殺虫剤も毒性がある(例:BT剤など)
  • カビ毒(マイコトキシン)や細菌が繁殖しやすい
  • 収穫量が減ることで価格が上がる

農薬を適切に使うことで、作物の病害を防ぎ、安定して供給することができるのです。


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