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今だから知りたい!備蓄米とは一体なんなのか?

2025.02.10
備蓄米

備蓄米とは?日本のお米を守る仕組みとその歴史

お米は日本の食卓に欠かせない存在。しかし、気候変動や社会情勢の影響で、毎年必ず同じ量が収穫できるわけではありません。では、日本ではどうやってお米の安定供給を守っているのでしょうか? その答えが「備蓄米」です。

今回は、備蓄米がどのように生まれ、どんな役割を持ち、どのように市場へ放出されるのかを詳しく解説します。


備蓄米とは?

備蓄米とは、政府が災害時や不作のときに備えて一定量の米を保管しておく制度です。お米の供給が足りなくなったときや価格が急騰したときに、備蓄米を市場に供給することで、食料の安定を図る役割を持っています。

現在、日本では毎年約100万トンの備蓄米が確保されています。この量は、日本全国の人が約1週間食べられる量に相当します。


備蓄米になるお米の流れ

備蓄米になるお米は、全国の農家が収穫したお米の一部を政府が買い取って管理しているものです。

1. 収穫と買い取り

秋に収穫された新米のうち、政府が決めた基準を満たしたお米が選ばれ、農家から買い取られます。買い取り価格は市場価格を参考にしつつ、安定供給を確保できるように調整されます。

2. 保管

指定された倉庫で、温度や湿度を厳しく管理しながら保管されます。品質を維持するために、5年間を上限として管理されます。

3. 活用

備蓄米として保管されたお米は、災害時の食糧支援や市場価格の安定化のために放出されます。また、一定の年数が経ったお米は、学校給食や福祉施設、海外支援などに活用されます。


平成の米騒動と備蓄米の導入

1993年、日本は記録的な冷夏と長雨に見舞われ、全国的に大規模な不作となりました。この年の作況指数(収穫量の目安)は74(平年=100)という異常事態で、これは戦後最悪レベルの冷害でした。

米騒動で何が起こったのか

  • お米の価格が高騰
    スーパーや米屋で在庫が激減し、普段10kg 3,000円だったお米が5,000円以上に跳ね上がりました。
  • 買い占めの発生
    「お米がなくなる」という不安から、家庭用の米を大量に買い込む動きが広がりました。
  • 政府による緊急輸入
    タイ米やアメリカ産のカリフォルニア米が輸入されましたが、日本人の口には合わず、「味が違う」「おいしくない」と不満の声が相次ぎました。

1995年に備蓄米制度が導入された理由

米騒動の直後である1994年、日本は豊作となり、市場に十分なお米が供給されました。そのため、すぐに備蓄制度が作られることはありませんでした。しかし、政府はこの危機を受けて議論を進め、1995年に「食糧法」を改正し、備蓄米の制度を正式に導入しました。

なぜ1995年になったのか?

  • 1993年の危機が一時的なものと見られ、1994年の豊作で国民の危機感が薄れたため、制度設計に時間を要した。
  • 農家の生産調整や財政負担の問題を検討する必要があった。
  • 国際的な食料需給の変動を踏まえ、長期的な対策として導入が決まった。

2025年2月、政府が備蓄米を放出か。価格への影響は?

最近、お米の価格が上昇しています。その要因として、物価全体の高騰、天候不順、輸送コストの上昇などが挙げられます。

政府は、こうした状況を考慮し、市場に備蓄米を放出することを決定しました。これによる価格への影響は次のように考えられます。

  • 短期的には価格が下がる可能性
    市場にお米の供給が増えることで、一時的に価格が下がることが期待されます。
  • 農家の収益への影響
    価格が下がりすぎると、農家の収益が減少するため、政府は放出量を調整しながら対応します。
  • 市場価格の安定
    備蓄米の放出により供給が安定し、極端な値上がりを防ぐ効果が期待されます。

備蓄米の役割と今後の展望

  • 全国の農家が収穫したお米の一部を政府が買い取り、適切に保管・管理している。
  • 1993年の米騒動をきっかけに、1995年に備蓄制度が正式に導入された。
  • 2025年2月の備蓄米放出により、一時的な価格調整が行われるが、慎重な対応が求められる。

備蓄米制度は、日本の食の安定を支える重要な仕組みです。今後も、気候変動や国際情勢の変化に対応しながら、より効果的な運用が求められます。

(参考: 農林水産省


 

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