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【バレンタイン】カカオは神の食べ物だった?
バレンタインと果物の意外な関係 ~カカオといちごの歴史をひも解く~
2月14日のバレンタインデー。日本ではチョコレートを贈る習慣が定着していますが、その原料であるカカオが「神の食べ物」と称され、長い歴史の中で特別な意味を持ってきたことはあまり知られていません。また、バレンタインスイーツに欠かせない「いちご」にも、愛を象徴する果物として注目されています。今回は、バレンタインと果物にまつわる知られざる歴史をひも解いていきます。
カカオは神々に捧げられた神聖な食べ物
カカオは神々に捧げられた神聖な食べ物
カカオの歴史は古く、紀元前1900年頃には中南米のオルメカ文明において栽培されていたと考えられています。後のマヤ文明やアステカ文明では、カカオは単なる食料ではなく、神々に捧げられる神聖な果物として扱われていました。
カカオの学名「Theobroma cacao」は、ギリシャ語で「神(theos)の食べ物(broma)」を意味します。この名称は、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネが1753年に命名しました。
マヤ人にとってカカオは「生命の源」とされ、儀式や婚礼の場で用いられたほか、死者への供物としても捧げられていました。特にカカオから作られる「ショコラトル(xocolatl)」と呼ばれる苦い飲み物は、王族や戦士が体力や精神力を高めるために愛飲していたといいます。
アステカ文明では、カカオの価値はさらに高まり、「通貨」としても使われるようになりました。例えば、100粒のカカオ豆で七面鳥1羽が買えたとされており、カカオが当時の社会においてどれほど貴重だったかがうかがえます。また、カカオは皇帝モクテスマ2世が「精力を高める飲み物」として毎日数杯飲んでいたとも伝えられています。
16世紀にスペイン人探検家エルナン・コルテスがアステカ帝国を征服し、カカオをヨーロッパに持ち帰ったことで、カカオは新たな価値を得ることとなりました。砂糖やバニラを加えたカカオ飲料は貴族の間で人気を博し、次第に「愛の贈り物」としての側面を持つようになりました。現在のバレンタインにおけるチョコレートの習慣は、こうした歴史の積み重ねの中で生まれてきたのです。
いちごが「愛」の象徴とされた理由
いちごが「愛」の象徴とされた理由
バレンタインに華を添える果物といえば、鮮やかな赤色のいちごが思い浮かびます。いちごが「愛」と結びつくようになった背景には、キリスト教文化や中世ヨーロッパの風習が深く関係しています。
中世ヨーロッパでは、いちごは新婚夫婦の幸福を願う果物とされ、結婚式で振る舞われることもありました。特にフランスでは、新郎新婦に「いちごとクリームのスープ」を提供する風習があったと伝えられています。これは、いちごが「永遠の愛」を象徴すると考えられていたためです。
また、いちごはビタミンCが豊富で、美容や健康にも良いことから、現代ではバレンタインスイーツの定番食材として活用されるようになりました。いちごをチョコレートでコーティングした「いちごチョコレート」は、見た目の華やかさと味の相性の良さから、多くの人々に愛されています。
バレンタインの起源と果物ギフトの新たな潮流
バレンタインの起源と果物ギフトの新たな潮流
バレンタインデーの起源は、3世紀のローマ帝国時代に遡ります。当時、皇帝クラウディウス2世は兵士の士気低下を防ぐために結婚を禁止していましたが、キリスト教司祭のウァレンティヌス(バレンタイン)は密かに結婚式を執り行っていました。この行為が発覚し、彼は西暦269年2月14日に処刑されました。後に、彼の勇気ある行動が讃えられ、2月14日が「聖バレンタインの日」として定められました。
近年、健康志向の高まりにより、バレンタインギフトの選択肢も多様化しています。特にフルーツを活用したスイーツや、高級果物そのものを贈るケースが増えています。
例えば、
- ダークチョコレートといちごの組み合わせ:ポリフェノールが豊富なダークチョコレートと、ビタミンCが多いいちごは、健康と美容を意識する人々に好まれています。
- ドライフルーツのチョコレートがけ:マンゴーやアプリコット、バナナなどのドライフルーツをチョコレートでコーティングしたものが人気です。
- 高級フルーツのギフト:熊本産の「ゆうべに」や「デコポン」など、希少性の高い果物を贈る人も増えています。
こうした動きは、単にスイーツを贈るだけでなく、「相手の健康や幸福を願う」というバレンタインの本質に立ち返るものといえるでしょう。
バレンタインと果物の歴史が示す意義
カカオといちご、それぞれの歴史をひも解くと、バレンタインが単なる「チョコレートの日」ではなく、愛や幸福を象徴する食文化と深く結びついていることが分かります。
- カカオは神聖な食べ物として崇められ、ヨーロッパでは恋愛文化と結びつきながら広がりました。
- いちごは中世ヨーロッパで結婚式で振る舞われる果物でした。
- 現代のバレンタインでは、健康志向を反映したフルーツギフトの人気が高まっています。
バレンタインデーは、単なるチョコレートの贈り物にとどまらず、古代から受け継がれる食文化や愛の象徴が息づく特別な日です。カカオが神聖な飲み物として広まり、いちごが愛の象徴とされてきた歴史を振り返ると、現在のバレンタイン文化がいかに長い歴史の中で築かれてきたかがわかります。
近年の健康志向や多様化する贈り物の選択肢は、単なる商業的なイベントではなく、より深い意味を持つバレンタインの形を模索する動きともいえます。果物やチョコレートの持つ歴史的背景を知ることで、贈る側も受け取る側も、より豊かな思いを込めた一日を過ごすことができるでしょう。