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【フードロス削減月間 】なぜフードロスは起こるのか?原因と背景、日本と海外の事例を調べてみた
2024.10.27
フードロス食品ロス
フードロスの原因と背景
食品ロスは、世界中で深刻な問題となっています。ここでは、日本および海外の具体的な事例を交えながら、その原因や背景について詳しく解説します。
食品ロスの原因
生産段階
- 農作物の過剰生産: 需要予測が難しく、天候の変動により計画以上の供給が発生することがあります。FAO(国連食糧農業機関)の報告によると、全世界の生産食品の約14%が収穫後に廃棄されています。
- 収穫のタイミング: 気候変動や自然災害により、収穫期が短縮されたり、品質が低下したりすることがあります。その結果、廃棄が発生します。
流通段階
- 運搬中の損傷: 海外では、食品の長距離輸送中に傷んだり、破損したりすることが一般的です。特に冷蔵設備が不足している地域では、この問題が顕著です。日本では冷蔵設備が整っているため、この問題は比較的少ないです。
- 賞味期限の問題: 日本では「3分の1ルール」が存在し、食品の流通において賞味期限の残り3分の1を切ると店舗での販売が難しくなるため、廃棄されることが多いです。このルールは消費者に新鮮な食品を提供するためのものですが、結果として食品ロスの増加につながっています。
- 見た目重視: 見た目が悪いだけで品質に問題がない食品が廃棄されることが多いです。農林水産省のデータによれば、日本では約3割の農産物が市場に出回らないとされています。
小売・消費段階
- 過剰な在庫: 店舗は売れ残りを避けるために過剰に仕入れることが多く、その結果、多くの食品が廃棄されます。日本では、年間約643万トンの食品が廃棄されているとされています。
- 見た目重視: 上記で述べた通り、見た目重視の傾向が強く、食品廃棄を促進しています。
日本の例
背景と歴史
- 食文化の変化: 戦後の食糧不足から豊かな食文化への転換が進み、多種多様な食品が市場に溢れるようになりました。消費者の要求が高まり、見た目や品質に厳しい基準が設けられるようになりました。
- 法律と規制: 日本では食品衛生法やJAS法など、食品の安全性を確保するための厳しい規制があり、これにより廃棄される食品も多くなります。
これらの規制のメリット
- 食品の安全性: 消費者が安全な食品を手に入れることができます。
- 消費者信頼: 食品業界全体への信頼を高めます。
- 食中毒防止: 食品に起因する健康被害を防ぐことができます。
現在の状況
- コンビニエンスストア: 賞味期限が短い食品が多いため、期限切れ前に大量の食品が廃棄されることが多いです。経済産業省の報告では、コンビニエンスストアでの食品ロスは年間で約29万トンに上るとされています。
- 外食産業: 食べ残しや調理過程でのロスが多く、特にバイキング形式のレストランでは大量の廃棄が発生します。日本外食産業協会の調査によれば、外食産業全体での食品ロスは年間約6万トンです。
海外の例
アメリカ
- 大量生産・大量消費: アメリカは大量生産・大量消費の文化が根付いており、結果として食品ロスが多いです。米国農務省のデータによると、年間で約1330億ポンド(約6000万トン)の食品が廃棄されています。
- 農産物の廃棄: 需要と供給のバランスが取りにくく、大量の農産物が廃棄されることがあります。例えば、カリフォルニア州では、毎年約40%の果物や野菜が市場に出回る前に廃棄されています。
ヨーロッパ
- 規制と意識改革: ヨーロッパでは食品ロスを減らすための規制が整備されつつあり、特にデンマークやフランスなどは食品ロス削減に積極的です。フランスでは2016年に食品ロス防止法が制定され、スーパーは売れ残りの食品を廃棄せず、寄付することが義務付けられています。
- 食品バンクの活用: 多くの国で食品バンクが普及しており、余剰食品を必要な人々に提供する取り組みが進んでいます。EUの報告によれば、食品バンクを通じて年間約50万トンの食品が救われています。
アフリカ
- インフラの問題: 道路や冷蔵設備の整備が不十分であり、運搬中に食品が傷んで廃棄されることが多いです。FAOのデータによれば、サハラ以南のアフリカでは、収穫後の食品ロスが年間約30%に達します。
- 市場の未整備: 適切な市場がないため、収穫した農産物が消費者に届かずに廃棄されることがあります。
背景と文化
経済的要因
- 豊かな国ほど廃棄量が多い: 経済的に豊かな国では、消費者の要求が高く、見た目や品質に厳しいため、多くの食品が廃棄されます。
社会的要因
- ライフスタイルの変化: 都市化や生活の忙しさから、計画的な食事準備が難しく、結果として食品ロスが増えます。
- 教育と意識の不足: 食品ロスに対する教育や意識が不足しているため、無駄が発生しやすいです。
環境的要因
- 気候変動: 天候不順や自然災害により、収穫が不安定になり、食品ロスが増えることがあります。
解決策と提案
政府の取り組み
- 政策と規制の強化: 政府は食品ロスを減らすための政策や規制を強化するべきです。例えば、食品ロス削減目標の設定や、食品の寄付を促進する法整備が考えられます。
- フードシェアリングの推進: 余剰食品を必要とする人々や団体に提供するためのフードシェアリングプログラムを支援し、普及させることが重要です。
- 教育キャンペーン: 消費者や企業に対して食品ロスの問題を啓発するキャンペーンを展開し、意識を高めることが大切です。
企業の取り組み
- サプライチェーンの最適化: 食品メーカーや小売業者は、サプライチェーンを最適化し、食品のロスを最小限に抑える努力をするべきです。技術の導入やデータ分析の活用が有効です。
- 食品リサイクルの推進: 売れ残りや廃棄食品をリサイクルし、バイオマスエネルギーや肥料として再利用する取り組みが重要です。
消費者の取り組み
- 計画的な買い物: 消費者は計画的に買い物をし、必要な量だけを購入することが大切です。また、食品の保存方法や調理法についての知識を身につけることも重要です。
- 食べ残しの削減: 家庭での食べ残しを減らすために、適切な分量を調理し、余った食品をリメイクする工夫が求められます。
食品ロスは多岐にわたる要因が絡んでおり、国や地域ごとに異なる課題があります。しかし、各国での取り組みや意識改革が進む中で、少しずつ解決への道が見えてきています。
参考リンク
- FAO 食品廃棄に関する報告
- 農林水産省 食品ロス削減推進月間
- 環境省 食品ロス削減に関するデータ
- 経済産業省 コンビニエンスストアにおける食品ロス
- 日本外食産業協会 食品ロスに関する調査報告
- USDA 食品廃棄データ
- カリフォルニア州農務省 食品廃棄に関するデータ
- EU 食品バンクに関する報告
- フランス 食品ロス防止法
- FAO アフリカの食品ロスデータ